中秋節



中庭の東屋に主だったメンバーが集まっています。今宵は中秋節（日本でいえば、中秋の名月を愛でるといった風情）を皆で祝いませんかという秋淋の提案に皆が集まってきたようです。

「あんなに月が高くなって。冴え冴えとして美しい、すっかり秋になりましたね。あぁ、もちろん愛蓮さんの美しさの足元にも及びませんけれども。」

「何をいまさら分かりきったことを、そんなことを言ってもお世辞にはなりませんわ。」

大皿に盛り付けてある、月餅はいろんな種類の餡が入っており、どの味に当たるかは食べてみてのお楽しみ、はてさて、蒿麒くんが手にとったのはなに味の月餅だったのやら…。「家族みんなで食べた月餅の味を思い出しちゃって。ぐすっ。ごめんなさい。…おいしいです。」朗蒿麒くんはなぜかちょっと涙ぐんでいる。色々事情があるのかもしれないが、皆はあえてそのことに触れないようにしている。準さんは、何も言わずに蒿麒くんの頭を大きな手でぽんぽんとした。

ちょっとしんみりしてしまった場の雰囲気を変えようと、秋淋が準さんに話しかける。「あ、そうそう、杢邑特産の甘茶の茶葉を取り寄せたんですよ。朱黎師姉から、準さんは甘茶がたいそうお好きだと聞いたものですから…。」

「ごほっ、ごほん。いやなんでもない。ちょっとむせてしまったな。…できれば、甘茶以外のものがあればそれをお願いしたいのだが。」

「あ、ごめんなさい。えっと、お酒も用意してあるのですよ。…お酒に合うのはやっぱりこっちかしら。」と、出てきたのは、別皿に盛りつけてあった、塩漬けのアヒルの卵入りの月餅。「麗麗さんにも手伝ってもらってたくさん作ったんですよ。ねぇ。」

「そうそう、中秋節って行事は、お世話になっている人たちのところに月餅を配ったり、身内で集まって月見しながら月餅を食べたりするんだって秋淋が言うものだから、なんだか面白そうじゃない。」麗麗にとっては人の営みすべてが目新しいので、この月餅作りも結構面白かったようです。

「邑に行った時についでに買ってきても良かったんですけれど、折角だから日頃の感謝をこめて手作りをと思って。」準さんにお酌をしながら、ちょっとだけ二人の世界に入り込んでいる秋淋です。

「とか何とか言っちゃって、本当はそれにかこつけて、準といっしょに中秋節を祝いたかっただけじゃないかって私はふんでるのだけど？」麗麗は、秋淋や準には聞こえないよう、愛蓮に話しかける。

「…あたくしには理解できませんわ。」
自身以上の魅力を他人に感じることがない愛蓮にしてみれば、恋心という感情は理解できないようで…。

「秋淋の思惑がどうであれ、ここにはおいしい月餅とおいしいお酒がある。あたくしにはそれで十分ですわ。」愛蓮が、うっすらと薄紅色に頬を上気させた姿は、まるで蓮の花のよう。艶やかで目を奪われてしまいます。つい、見とれてしまっていた橙紅慶くんですが…。

「コホン。気に入っていただけて、光栄です。皆さん方（慶くんのいう皆さんとは女性限定）のお口に合うようなものをと思って、苦労して探してきた甲斐がありましたよ。」

「あー、これ慶の差し入れだったんだ。流石、気が利くぅ。」すっかり秋の風情の涼しい風が、火照ったほほに気持ちいい、麗麗もすでにほろ酔い気分になっているようです。

「そういえば、慶さん、甘茶ばっかりでお酒飲んでないですね。もしかしてお酒は苦手ですか？」

「…そういう訳ではありませんが、僕はしらふでも十分この雰囲気を楽しんでいますから、お気遣いなく。」
と、焦ったのか、甘茶の入っていたお椀をいっきに飲み干す。それを見た麗麗、ペロッと舌を出して、小声でそっと秋淋に耳打ちする。

「あれ、老酒の甘茶割りにしてみたんだけど、どうなるかしら？」
「えぇ、そんなことしちゃったんですか？」
まったく悪びれる様子もない麗麗、左手をひらひらさせながら…「いやーねー、ちょっとお茶目しただけじゃない。」
「もう、麗麗さんったら、お酒が苦手な人に無理に飲ましちゃ危ないんですよ。」
「だってぇ、ほんのちょびっとよ。」
などというやり取りをしているその横で、見る見る顔が真っ赤になって自慢の尻尾がぶわぶわに逆立ってしまった橙紅慶くんです。

「ふにゃ〜、なんだかとっても気持ちよくなってきましたよ。…それにしても、暑いですねぇ。」
目がすわってるし口調も変わっているので、すでにやばい感じが漂っているのですが。本人はそんなことはお構いなし、ぐる〜っとあたりを見渡して、ターゲットロックオン？。ふらふらとおぼつかない足取りで、歩いて行く先は…。

「にゃぁ。蒿麒クンそんな格好じゃ暑いでしょ〜、ほら〜、脱ぎ脱ぎしましょうよ。」
蒿麒クンに抱きつくと、なんと、脱がしにかかってる??
「慶さんお酒くさいです、…なんでぼくなんですか、止めてくださいよぅ。誰か、誰か助けて。」

「これは、甘え上戸の絡み酒ってやつか。どうせなら女性に向かって行ってくれれば…いや、何でもない。」

「へぇ、ちょっと意外だったりして♪。」

「もうどうするんですか。止めに入るにしても、これじゃ危ないから女性軍は近寄れませんよ。準さん、お願いします。蒿麒くんを助けてあげて…。」

その様子を見ながら、楽しそうにコロコロと笑う麗麗。「いいじゃないの。宴もたけなわってコトで。」

「そういう問題ですか？」

自分は関係ないというスタンスの愛蓮。ため息をつきながら、「お酒を飲んで醜態をさらすだなんて、不様ですわね。」





（こんな予定じゃなかったんだけどな。静かに虫の音を聴きながら、こう、しみじみと…。（秋淋の妄想部分は書くと長くなるので省略））

「はぁ〜。…まっ、いっか。」



　橙紅慶くんのPLさん、イメージ勝手にいじっちゃってごめんなさい。
　凛鈴童子のPLさん、今回はプラリアに登場させてあげられなくってごめんなさい。まだ、私の中でのイメージが固まってなくって書けなかったんです。
　周愛蓮さんのPLさん、お酒強いイメージに思ったのでこんな感じになりましたが、いかがだったでしょうか？
　朗蒿麒くんのPLさん、後半ではとんでもないことになってしまって申し訳ありませんでした。つい悪のりしちゃいました。

　つたない文章で恥ずかしいのですが、プラリア書いてみました！！いかがでしょう？
　中国の行事というのを調べて、勝手なイメージで書いてみました、坤の地の行事として果たして似つかわしかったかどうか、もしかして微妙？

　リアルでも、すっかり涼しくなってきて、秋ですねぇ。季節の変わり目は体調を崩しやすいので、皆さんお体を大切に。


「銀泉」紅秋淋さんのＰＬさんから、プラリアをいただきました〜。
素敵な秋の夜の光景をありがとうございました！
（'08 9/12　UP）

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