グィナンに数多くある孤児院のひとつにも、その知らせはもたらされていた。子供たちの寝静まった深更、リムルは怒りもあらわにペンを走らせる。 「貴族ってのは、ろくな事を考えねーんだな」 机にあぐらをかいたピップの視線の先で荒々しくつづられていくのは、聖メルテ王国に対する抗議文だ。友人への仕打ちに断固として撤回を求める旨が、強い語調で書かれている。リムルは憤懣やるかたないという様子で呟いた。 「それを放っておく国も国よ。泣き寝入りなんて、絶対させないんだからっ」 「あ、あの、リムルさん・・・」 少しばかりおろおろと声をかけたのはタイニーだ。共同経営者でもあるふたりは、公私ともにパートナーとして暮らしている。 「ん？ なあに、タイニー」 「おれ、思うんだけど・・・いきなり偉い人に話を持っていこうとしても、おれたちじゃ、聞いて・・・もらえないんじゃないかな」 「そうかな」 「・・・うん」 リムルは手を止めてタイニーの方へ向き直った。 「私は、最初にトップと話を付けちゃった方がいいと思ったんだけど、タイニーは何か他に案があるの？」 「ええと・・・」 リムルとはスムーズに会話ができるようになってきたとはいえ、まだ自己を主張するのが苦手なタイニーは、少し言いよどむ。リムルは辛抱強く次の言葉を待った。 「劇に・・・してみたらどうかなって」 「劇？」 「貴族に無理矢理結婚させられる、哀れな少女の物語ですわ。みなさんの興味を引くことは間違いありません」 タイニーの肩にいたフローラが補足する。リムルは首を傾げた。 「劇って、創立記念祭の時みたいな？」 「あんなに立派じゃなくて・・・たとえば、園の子供たちに学芸会的に・・・それで、話が広がれば、偉い人たちも無視できなくなるんじゃないかなって・・・」 「ああ、なるほど。うん、それ、面白そうだね」 リムルは乗り気になってうなずき、ふたりは実現のための計画を立て始めた。
(to be continued・・・)
さらに短くなってすみません(汗)。 いや、でも間が空きすぎるよりはいいかな〜と・・・。 まだ出番のない方、もう少しお待ちくださいませ。たぶん来月中にはなんとか(^^; プリズム・オリジン トップへ インデックスへ |