星のとびら 番外編
「Ｔｈａｎｋｓ ａ Ｍｉｌｌｉｏｎ 〜 祝祭 〜」
晴れ渡る空に、花火が打ち上げられた。ポンポンと楽しげな音をたて、白い煙がたなびいていく。
学園祭の、はじまりだ。
一
開始直後の注目イベントは、なんと言ってもミス・フォルトゥーナ・コンテストだ。午前は予選とはいえ、その舞台で撮られた写真による一般客投票が本選の鍵を握っているのだ。出場者は３０名ほどと少なめだが、優勝者の所属する部などには特別予算が贈られるということもあり、その気合は並大抵ではない。
しかし、そんな力みと無縁の出場者も中にはいる。落ち着いた黒の地に四季の花が咲きそろう、あでやかな振袖をまとったセンリ・チサトは、そういった一人だった。舞台袖で順番を待ちながら、ものめずらしそうにまわりを見回している。
せっかくだから様々な衣装の出場者たちと会話をしてみたいと思うのだが、厳格な両親に友達付き合いすら制限されてきたチサトは、あまりそういうことに慣れていない。また相手も、学園に多額の寄付をしているセンリ家の一人娘であるチサトに対して、多少の隔意を持つものは多い。
何度か声をかけようとしては上手くいかないでいるうちに順番は進み、次がチサトの番になった。
「・・・いよいよですのね」
胸元に手を当て、大きく深呼吸すると、脳裏に少し前の出来事がよみがえった。
「ウチの部の成功は、あなたにかかっているの！」
そう言ったのは、チサトの所属する茶道部の部長だった。
茶道部は、学園祭で野点を行なうことになっていた。あまり騒がしくなく、ある程度の広さがあって風情ある場所、と実行委員会に希望して割り当てられたのは、特別教室棟と図書館の間にある中庭だった。
今は花をつけていないが藤棚があり、小さな池から小川が図書館のほうへ向けて流れている。ロケーションとしては文句の付け所がなかったが、唯一つ問題は。
「校門から遠すぎるのよね」
ため息をつく部長に、部員たちも難しい顔になる。学園祭の当日に騒がしくない場所、と言ったら、そうなるのは必然ではあった。
「しかも門からメインステージへ向かうのと逆方向だから、集客を考えるとかなり不利だわ」
暖かく、風も穏やかな絶好の野点日和。緑の藤棚を背景に並ぶ緋毛氈を敷いた縁台に野点傘が差しかけられたさまは風流だが、人が来なくては話にならない。
「お願い、チサトさん。ミス・コンで宣伝してきてちょうだい」
「宣伝・・・わたくしが？」
部長からの突然の指名に、チサトは目を丸くした。
「ええ。ミス・コンは注目度の高いイベントだから、校門で声をかけたりするよりきっと効率がいいわ。それに呼び込みなんて、野点のイメージじゃないしね。難しいことはないわ。アピールタイムに、この場所で茶道部が野点をやってますって言ってくれればいいの」
熱心に訴える部長に、最初は戸惑っていたチサトはすぐに笑顔になった。楽しみにしていた学園祭。普段は出来ないいろいろなことをやってみようと思っていたのだ。それに、頼りにされたことも嬉しかった。
「わかりましたわ。わたくしでよろしいのでしたら、喜んで」
「本当？！ 助かるわ！」
部長はチサトの手を取り、ぶんぶんと振り回した。
そんな部員たちの期待を背負い、チサトはステージに立った。満員の観衆にも物怖じすることなく野点の魅力を説く和服美少女に、会場からは大きな拍手が送られた。
二
大きなアーチが掲げられた校門を、来客たちが次々とくぐってくる。入り口でパンフレットを配るのは学園祭実行委員たちだ。
校門前には広場があり、小さなステージが設営されている。いまは、スタンダードジャズ研究会の６名が演奏の真っ最中だ。
その様子を、一人の少女がカメラで撮影していた。小柄な身体に不釣合いなほど大きく本格的なカメラだった。
「あ、リフィルじゃない。いい写真撮れた？」
声をかけられ、リフィル・ブランクレーはファインダーから目を離し、通りかかったクラスメイトのほうへ向き直った。
「もちろんよ、まかせて」
少しのんびりした口調で、ふわふわとしたセミロングの髪をゆらして笑う。
「トランペット吹いてるときのリットン先輩、本当にかっこいいもんねぇ。こういう時じゃないと、こんな近くで撮影なんて出来ないし、今度の記事も期待してて」
普段は物静かでどこか天然なところのあるリフィルだが、実は学園の新聞部にとって、なくてはならない戦力だった。彼女が記事にする事件や人物は、なぜか生徒たちに非常にウケがいいのだ。
「うんうん、期待しちゃう。リフィルの記事、いつもすっごい楽しみなんだ〜。頑張ってね！」
手を振り去っていくクラスメイトに手を振り返しながら、ふとステージ脇の時計に気が付いて、リフィルは目を丸くした。
「たいへん、もうこんな時間。ミス・コンの予選、はじまっちゃう〜」
学園祭という非日常の中、魅力的な被写体は目白押しだが、中でもミス・コンは見逃すわけにいかない一大イベントだ。特に今回は、特ダネになりそうな事前情報をゲットしている。
あたふたと片づけをして、リフィルはメインステージへ向かった。
会場の雰囲気を一枚、フィルムに収めたあと、控え室へと入る。
「こんにちわ〜、新聞部ですけど、ちょっといいですかぁ？」
「なんだよっ、入ってくんなよ！」
ついたてを回って中をのぞきこんだとたん、甲高い少年の声が飛んでくる。椅子に座らされている少年の姿に、リフィルは「あら、予想以上」と呟いてシャッターを切った。
「やめろー！」
フリルがふんだんに使われた可愛らしいワンピースを着せられた陸上部のイーサーは激しく暴れたが、すかさず周りの陸上部員たちが押さえつけた。
「いいかげん観念しろって。メイク、出来ないじゃん」
「いらねーよ、化粧なんて。ぼくは出る気ないんだから」
ふん、とそっぽを向くイーサーに、リフィルは反射的に声を上げていた。
「だめよ、そんなの」
リフィルには、イーサーのミス・コン出場は記事の目玉になるという確信があった。なにより、素の状態でこれだけワンピースが似合っているのだから、メイクして髪もセットしたら極上の美少女が出来上がるはず。それをどうしても見たい、フィルムに残したい、記事にして発表したい。その思いに突き動かされたリフィルは、いつもよりも早口になってイーサーにつめ寄った。
「みんな楽しみにしてるのに。お祭りなんだし、少しくらい羽目を外してもいいんじゃないかしら。それに、ここまで来てまだごねるなんて、男らしくないわ」
それを聞いたイーサーはムッとした顔になった。
「男らしくないって・・・女のカッコするほうが男らしくないだろ」
「期待されているのに応えようとしないのは男らしいとでも？」
すかさず言い返され、イーサーは言葉に詰まる。その隙に、リフィルはついたての向こうに合図をした。
「みんな、まかせたわ」
「ＯＫ！」
「バッチリ決めてあげる」
「前から絶対可愛くなると思ってたのよねー」
「腕のふるいがいがあるね！」
リフィルの合図に、ぞろぞろと女生徒たちが現れる。
「えっ、なっ、なっ・・・」
女生徒たちは呆然としている陸上部員からメイク道具を奪い取ると、笑顔でイーサーを取り囲んだ。
「うわーっっっっ」
イーサーの絶叫が控え室にこだまする。
「ありがと、リフィル先輩」
メイクされていくイーサーの様子をカメラに収めるリフィルの横に、いつの間にかイーサーの双子の姉、カーヤが立っていた。
「お安い御用だわ。イーサーくんがミス・コンに出るなんて、こんな美味しいネタを教えてくれたんだもの」
ニュースソースの少女と敏腕記者は顔を見合わせ、共犯者の笑みを浮かべた。
三
校庭では、ずらりと並んだテントから、いいにおいが流れ出していた。主に運動部が出店する食べ物の模擬店が軒を連ねる、メインストリートだ。
たこ焼きやお好み焼きといった定番から、ケバブ、ホットドッグ、クレープなどの屋台料理、さらには焼き鳥やおでんなどの渋い赤暖簾までが見える。飲み物の店もバラエティに富み、コーヒー・紅茶からフレッシュジュース、珍しいところではノンアルコールカクテルの立ち飲みバーなるものもあった。
陸上部のやきそばの屋台も、その一角を占めていた。家が中華料理屋だという部員の指導で鍛えられた味は評判も上々で、出来あがるそばから飛ぶように売れていく。
「麺の補充、頼む！」
鉄板の前の男子部員が首だけで振り返って叫ぶのを聞き、マリーカ・フォン・リヒターはテント裏手から麺の入った箱を運び込んだ。制服の上から、部で揃えたエプロンをつけている。
「これでよろしかったでしょうか」
「ああ、サンキュ」
箱を開けながら控えめに告げるマリーカに男子部員はうなずいた。
「悪いな、重かったろ。あと、輪ゴムがなくなりそうなんだ。ひとっ走り購買まで行ってきてくれないか」
「は、はい・・・」
マリーカはレジから小銭を取り、購買へ向かった。
賑わう中、すれ違うカップルたちに、マリーカは羨望のまなざしを送る。
好きな人と二人で学園祭を見て回るのは、どんなにか楽しいだろう。マリーカにも、恋い慕う人がいる。だが非常に内気なマリーカは、想う相手を誘えずにいた。
（けれど、叶うならばわたくしも先輩と・・・）
うらやましげにカップルたちを見送ったマリーカは購買で輪ゴムを買い、部のテントへ戻った。
「あ、戻ってきた。そろそろ時間でしょ、マリーカ。ここはもういいから行っておいでよ」
仲の良い女子部員が、テントに顔を出したマリーカを見つけて声をかけてきた。
「時間・・・？」
「ミス・コン予選！ 早くしないと始まっちゃうよ」
言われて時計を見れば、１０時半を過ぎている。マリーカは慌ててミス・コンの控え室へ駆け込んだ。すると、ちょうど同じ部のイーサーが大勢の先輩たちにおもちゃよろしくメイクされているところだった。
イーサーが出ることは知っていたし、瓜二つの双子の姉であるカーヤを見れば、彼が普通に可愛らしい少女に変身することは予想できる。マリーカも小柄で華奢な体つきであり、可愛らしさをアピールするとしたら似たような路線になる可能性が高かった。
そこでマリーカはあえてボーイッシュな魅力を前面に出すことにした。衣装はシンプルにジャージ姿。赤地に白のラインの陸上部のジャージは、部員たちにも好評なシャープなデザインなのだ。
「よっし、いくぜ！」
着替え終えてパン、と顔を両手で叩いたマリーカに、控え室にいたほかの出場者たちが驚いた顔を向ける。うつむきがちだった内気な少女は姿を消し、さっそうと顔を上げる強気な少女がそこにいた。マリーカはこのジャージ姿になると性格が一変するのだ。
（あ、そうだ！）
身体をほぐすように動かしながら、マリーカはひらめいた。
（このカッコしてれば、俺にも先輩に声かけられるぜ！）
その思いつきに上機嫌になったマリーカは、予選の舞台上で活発なアピールをした。その様子は小気味よく、躍動感に溢れていた。
「これは驚き、ミス・コンに美少年が殴り込みだ！」
調子に乗った司会の生徒の言葉に、マリーカはステージ中央で仁王立ちになり、大きく叫ぶ。
「俺は女だっ！」
可憐な声は紛れもなく少女のもので、そのボーイッシュな容姿とのアンバランスな魅力に、観客からは大きな声援が飛んだ。
四
チサトの宣伝のおかげで、茶道部の野点は予想以上の客が訪れていた。部員たちは男女とも着物姿で、静かな憩いの場を提供している。
「ふむ。悪くありませんね」
縁台の一つに腰をかけた教頭であるサクルは、満足げに目を細めた。
客の数はそれなりだが、誰もが落ち着きと静けさを求めて来ているため、騒がしさはまったくない。
「このような落ち着きある企画こそ、格式ある我が校の学園祭にふさわしいというものです」
くつろぐサクルの姿に気付き、チサトを取材に来たリフィルは内心で顔をしかめた。厳格で融通の利かない教頭は、たいていの生徒から敬遠されている。リフィルも例外ではなく、回れ右をしようとしたがわずかに遅く、サクルとばっちり目が合ってしまう。
「きみは、新聞部ですね」
「はぁ、そうですけど・・・」
声をかけられ、しぶしぶサクルの近くへと寄っていく。そこへチサトが朱塗りの盆で抹茶を運んできた。
「お待たせいたしました。薄茶でございます」
盆の上には、茶碗と一緒に懐紙に盛られた小さな菓子がのっている。
「わぁ、かわいい」
リフィルは反射的にカメラを向けた。とろりとした抹茶の緑と盆の朱がきれいなコントラストを見せている。
「あ、もう少し、こう持ってこっち向いてもらえるかなぁ。うん、そうそう」
サクルの前であることを忘れて新聞部の本領を発揮し始めるリフィルに、チサトは少し戸惑ったような笑みを浮かべた。
「予選、見てたわ。振袖はインパクトあったわね。しかも似合い方がハンパじゃないし、アピールが部のことっていうのも奥ゆかしいって、得票も順調よ。本選、ずばり自信は？」
「あ・・・ええ、わたくしを見込んでくださった部の皆様の期待に応えられるよう、精一杯がんばり・・・」
「きみは、ここの取材に来たのではないのですか」
リフィルの勢いに一瞬押されたチサトが、すぐに笑顔で答えるのをさえぎるように、サクルが冷ややかに言った。
「騒がしくするのなら立ち去りなさい。そもそも最近の新聞部は、ジャーナリズムの本質を忘れた軽佻浮薄な記事が多すぎます。もっと目を向けるべき題材があるでしょう」
「でも」
「我が校の品位を落とす真似だけは、慎んでもらいたいものです」
リフィルの反論を許さず、サクルは厳しい目をチサトにも向けた。
「きみもです。ミス・コンなどという浮ついたものに出て見世物になっているのを、ご両親がご覧になったらどう思われるか」
「わたくしは両親に顔向けできないようなことはしておりません」
チサトはサクルをまっすぐに見つめ返してきっぱりと言った。
「浮ついたとおっしゃいますが、ミス・フォルトゥーナ・コンテストは、我が校の学園祭で長く続く、伝統あるイベントですわ。学園長自らが審査委員長を務めるほど格式あるコンテストですのに、生徒の規範であるべき教頭先生がそのような批判をなさるとは、いささか軽率ではございませんの？」
声の調子は穏やかだが、確固たる信念をのぞかせるチサトに、サクルは圧倒されたのか、言葉を失っている。チサトはゆっくりと息を吸い、静かに一礼した。
「お騒がせいたしまして、大変失礼をいたしました。どうぞ、ごゆるりとおくつろぎ下さいませ」
「あ、えっと、すいませんでした・・・っ」
楚々とした仕草でサクルの脇に盆を置いて歩み去るチサトを見て、リフィルも慌てて頭を下げ、後を追った。
「あ、あの、チサトさん・・・！」
サクルの座る縁台から離れたところで、リフィルはチサトを呼び止めた。
「すごいのねぇ、あのイヤミ教頭をやり込めちゃうなんて。なんか胸がスッとしたわ。・・・ごめんなさいね、私のせいであなたまで怒られちゃって」
「いいえ。リフィル様のせいではございませんもの」
「でも、私があんなところで声をかけなかったら、教頭につかまることもなかったんだし」
気にしてない、と言うチサトに、リフィルはお詫びをさせてくれと主張する。
「では・・・ひとつお願いしてもよろしいですかしら？」
「私に出来ることだったら。なんでもいいわよ、言ってちょうだい」
「では、お言葉に甘えて。・・・その、わたくしに、『食べ歩き』の仕方を教えていただきたいんですの」
「？」
意外なチサトの「お願い」に、リフィルはきょとんとした。
「クラスの方たちが、学園祭では食べ歩きが楽しみだというようなことを口にされていて、わたしくも体験してみたいと思うのですけれど・・・そのようなことはしたことがございませんの。どうすればよいのか、お教えいただけませんこと？」
「なるほどね〜。わかった、任せて。私が最っ高の食べ歩きを体験させてあげる」
チサトの願いを理解したリフィルは、楽しげに笑った。
「せっかくだから、ただ食べ歩くより面白いことしたいわよね。この時間だと、なにがあるかなぁ。ちょっとバルに訊いてみるわね」
休憩時間に入ったチサトと並んで歩いていたリフィルは、電脳部の設置した端末ブースで足を止めた。２人が端末の前に立つと、学園の校章を表示していた画面が自動的に切り替わってサービス内容を表示し、陽気な音声が流れた。電脳部自慢のプログラム、人工知性のバアルジェナムだ。
『ようこそ、いらっしゃいませ〜。ひいきバンドのチケット購入から、グルメスポット案内、突発イベントの開催に迷子預かり状況まで、学園祭の案内はワタクシにお任せあれ。ご希望をうかがいますよ〜』
「今からはじまる、珍しい出し物とかあるかな？ 舞台じゃなくて、模擬店の時間限定イベントとか」
『なんと、グッドタイミング！ ５分後に、サッカー部のピザテリアで、ピザ回しの実演がはじまりますよ〜。あとは水泳部のカキ氷早食い競争のエントリー〆切が１０分後、ホラー研究会のオリジナル映画上映と空手部の瓦割り体験が同じく１０分後、３０分後には園芸部のフラワーアレンジメント教室の受付がはじまりますし、料理部のスイーツカフェでは特製ケーキが焼きあがるそうです〜』
２人はバルの表示する地図を見ながら、どこを回るか、どう回るかを決めて歩き出した。まずピザ回しを見物し、クレープを食べながら美術部の屋外彫刻展を散策する。それからインド式紅茶スタンドで喉をうるおしたあと、２人は園芸部の温室へ近道をしようと裏庭へと足を踏み入れた。
トラブルは、その時起こった。
「おっ、おじょーさまはっけーん」
人を小ばかにしたような口調で、数名の少年グループが２人の行く手をさえぎるように近付いてきた。
「な、なによ、あんたたち・・・」
リフィルは怯えた声で言って後ずさった。
「あんたさぁ、お金持ちのお嬢様なんだろ？ ちょっと俺らに恵んでくんねぇ？」
少年たちはチサトを見てニヤニヤとしている。どうやら、ミス・コンのエントリー写真のプロフィールを見てきたらしい。
「ほら、貧しいものへの施しってのも、金持ちにとっちゃ義務みたいなもんだろ？」
「そうそう、オレら貧しい一般庶民だからさぁ」
チサトに絡みながら、何がおかしいのかゲラゲラと笑う。チサトは不思議そうな顔で少年たちを見回した。
「なぜ、わたくしがお金を差し上げなくてはなりませんの？」
「ちょ、ちょっとチサトさん・・・！」
リフィルが慌てて袖を引くが、チサトは恐れる様子もなく一歩進み出た。
「おどきくださいな。わたくしたち、急いでおりますの」
「んだと、てめぇ・・・バカにしてんのか！」
泰然としたチサトに、少年たちは気色ばんだ。リーダーらしき少年の合図で、すばやく２人を取り囲む。
リフィルの顔から血の気が引いた。
五
風紀委員が務める会場警備班の本部は、職員昇降口の脇にある生徒指導室が割り当てられていた。会議机が並べられ、校舎内の様子を写すビデオカメラのモニターが据えつけられている。壁に貼られた大きな学園のマップには、所狭しと書き込みがされていた。
遠くから賑わう声が聞こえる中で１人、机の上のわずかなスペースで報告書を書いていた風紀委員のハリールは、扉の開く音に顔を上げた。覗き込んでいたのは、ジャージ姿のマリーカだった。室内のハリールを見て、マリーカはするりと中へ入り込んだ。
「陣中見舞いに、ウチの部自慢の海鮮やきそば持って来たぜ。見回りで忙しくって、食べるヒマ無かったんじゃないかと思ってさ。一番人気で味は保証つき」
「ああ、すまない。いただこう」
ハリールは差し出されたパックを受け取ると、さっそく割り箸を割った。
食べながらも手を止めないハリールに、マリーカは一緒に学園祭を見て回るのは無理かと少しがっかりした。憧れの先輩を、差し入れを口実に誘おうと思っていたのだが。仕事熱心なハリールは、そんなマリーカの思惑など気付きもせず、ひたすら報告書と格闘している。
マリーカが、諦めるべきかと思いながらも立ち去りがたくしていると、再び扉が開いた。
「悪い、巡回の時間だよな・・・あれ、他のヤツは？」
入ってきたのは風紀委員長である３年の男子生徒だった。部屋を見回し、ハリール以外の委員がいないのを見て顔をしかめる。
「まだ誰も戻っていない」
「マジかよ・・・うわっ、なんだこりゃ。スケジュール間違えてるぞ。あいつらが休憩から戻るの、３０分も先じゃんか」
ハリールの答えに委員のタイムスケジュールを書き込んだ模造紙をのぞきこみ、男子生徒はうめいた。
「まいったな。巡回は１人でさせられないし、かといって本部をカラにはできないし・・・」
「俺が手伝うぜ！」
腕組みをして考え込んだ男子生徒に、マリーカはとっさに声を上げていた。
「俺がハリール先輩と見回りに行く。したらアンタが本部に残れるだろ？」
「だが、貴方は風紀委員ではないだろう」
ハリールが難色を示すが、男子生徒はパッと顔を明るくした。
「そうか、助かるよ！ なぁ、ハリール、巡回の時間をあまり空けたくないんだ、ここは手を貸してもらおうぜ」
そして渋い顔のハリールの肩を叩く。マリーカも大きく頷いた。
「決まりだな。じゃ、頼んだ」
男子生徒からチェック用のクリップボードを受け取り、マリーカはハリールと連れ立って見回りに向かった。
「まず、校庭だ。模擬店は店同士のトラブルの可能性も考え、こまめに見る必要がある。３つある舞台は学園祭実行委員が警備についているから、軽い確認だけでいい。中庭を経由しながら校内展示を回った後、渡り廊下と裏庭をチェックする」
「裏庭？」
順路の説明を受けていたマリーカは、首をかしげた。
「そこには何もなかったよな？」
「何もないからこそ、不届き者が居座っていることがある。慣れないものが迷い込んでいた例もある。巡回では、とにかく死角を作らないことが肝要だ」
「なるほど。大変なんだな」
地味な仕事だが、ハリールは真剣に取り組んでいる。見回りとはいえ、彼と２人で学園内を歩くのだ、と少し浮かれていた気持ちを、マリーカは引き締めた。
通路を塞いでいた模擬店の看板を撤去させたり、校内で迷っていた学外からの来客にバルの使い方を教えたりといった細かい仕事はあったものの、これといって大きなトラブルはなく見回りは進み、最後に裏庭へとさしかかった。
「やめて！」
２人の耳に、少女の悲鳴が届く。聞こえた、と思ったときにはマリーカは駆け出していた。
「待て、危険だ・・・！」
ハリールの制止の声が追いかけてくるが、マリーカは足を止めずに裏庭に走りこんだ。
目に飛び込んできたのは、２人の少女を囲む不良じみた風体の少年たちだった。
囲まれている少女には見覚えがあった。２人とも同じ学年で、ミス・コンの会場でも顔を合わせたチサトとリフィルだ。少年たちのほうは見慣れない制服を着くずしていることから、他校生と知れた。
「なにしてんだ、てめーらっっ」
マリーカの声に、少年たちがぎくりとしてマリーカのほうを向く。
だが、現れたのが小柄な少女１人とみるや、にやついた笑みを浮かべた。
「なんだよ、混ぜてほしいのか？」
「出すモン出せば、入れてやってもいいぜ」
「ふざけんな！」
マリーカは少年たちを睨みつけた。
「てめーらみたいなのがいるから、先輩が大変になるんじゃねーか。いいかげんにしろよ」
「んだぁ？ 生意気に説教かよ。金出す気がねーなら失せな」
「失せるのはそっちだろ、群れなきゃ何も出来ない腰抜けどもが」
低い声ですごむ少年にひるむことなく、マリーカはリフィルたちをかばうように前に出た。つかみかかってきた少年を１人かわし、肩に手をかけた少年に体当たりするが、さらに伸びてきた腕をよけきれず、こめかみに衝撃が走った。目の裏に火花が散り、ぐらりと身体がよろけたマリーカに、リフィルが悲鳴を上げる。
「何をするのです、おやめなさい」
「うるせぇっ」
眉をひそめて毅然と訴えるチサトを乱暴に突き飛ばし、少年はマリーカに向けてこぶしを振りかぶった。
「そこまでだ！」
振り下ろされるこぶしを、強い声がさえぎった。同時に大勢の足音が裏庭に響く。
「ハ、リール・・・先輩・・・」
屈強な警備の生徒たちを従えて先頭で走ってくるハリールの姿を認め、マリーカはかすむ目を必死で開いた。
ハリールは連れてきた他の生徒に抵抗する少年たちを任せ、マリーカの元へと駆け寄って来る。その姿が歪みながら倒れていき、マリーカは不思議に思った。
（先輩、どうしたんだろ・・・？）
横向きのハリールは、何か必死に叫ぶように口を動かしている。しかし何も聞こえない。
倒れたのは自分のほうなのだと気付いたときには、マリーカの意識は闇へと呑まれていた。
六
ふと目が覚めると、そこは消毒液のにおいのするベッドの上だった。ぱちぱちと何度かまばたきをして、見慣れない天井を眺めた後、ゆっくりと首をめぐらせる。
「気が付いたか」
静かに声をかけられ、マリーカは慌ててそちらを向いた。ベッドの周りのカーテンのすきまから、椅子に座るハリールが見えた。
「え・・・、あれ、ここは・・・」
「保健室だ。気分はどうだ」
ハリールが立ち上がると、古びた椅子がぎしりときしむ音をたてた。
「軽い脳震盪だということだったが、吐き気はないか？」
「あ、うん・・・俺、どうして・・・」
身を起こせば、ジャージ姿のままだ。少し混乱した記憶をたどり、不良少年に殴られたことを思い出す。
「そうだ、俺、殴られて・・・あいつらは？」
「風紀顧問に引き渡した。おそらく保護者へ通達がいくだろう。からまれていた２人も無事だ」
「そっか」
ホッと息をつくと、ハリールが冷たい水の入ったコップを渡してくれる。ありがたく受け取って口をつけると、かすかにレモンの香りがした。ごくごくと飲み干してから、室内が夕暮れの色であることに気付いて目を見張る。
「俺、どのくらい寝てたんだ・・・？」
「２時間弱といったところだ」
「２・・・っ、て、まさか先輩、ずっと付いててくれた、なんてことは・・・ない、よな？」
そんな都合のいい話はないと思いつつ口にすると、ハリールはどこか怒ったように言った。
「私は意識のないものを置いて行けるほど薄情だと思われているのか」
「え・・・だ、だって、巡回は・・・？」
「代わってもらった。当然だろう。・・・目の前で倒れられて、私が心配しなかったとでも思うのか、貴方は」
一段低くなった声に、マリーカは息をのむ。手助けをするつもりが、逆に足を引っ張ってしまったことに、身体の中心が氷のように冷たくなった。
「ゴ、ゴメン・・・」
うつむいて毛布の端を握りしめる。消え入りたい気持ちで縮こまる肩に、暖かな手が触れた。顔を上げると、いたわりを含んだ目と視線が合った。
「誰かを助けようとするその気持ちは尊いものだ。だが、無理はしないでほしい。今回は、幸い大きな怪我にはならなかったが、それは運が良かっただけのこと。こんなことを続けていたら、いつか取り返しの付かないことになるかもしれない」
「うん・・・」
マリーカが頷くと、ハリールはポン、と肩を叩いた。
「もう少し休んでおいたほうがいい。陸上部へは連絡しておいた」
「ありがとう」
マリーカは素直に横になりかけて、がばっと起き上がった。
「ミス・コン本選！ 今何時だ？！」
「そっちも欠場の連絡を入れてある。どのみちもう遅いだろう」
ハリールの冷静な説明に、壁の時計を見上げる。時計の針は、すでに４時半を過ぎていた。しゅんとしたマリーカはベッドに倒れこみ、枕に頭をうずめた。
「いいところまでいくと思ったんだけどな・・・」
「無茶をした代償だと思って諦めるんだな」
ずれた毛布を直しながら、ハリールが言う。
「だが、貴方のおかげで助かった。・・・感謝する」
ポツリと呟かれた言葉にマリーカははっとしてハリールを見上げた。夕日にオレンジ色に染められた横顔は、いつもと同じようでいて、どこか違って見えた。
学園祭でのデートは実現できなかったけど、こんな時間も悪くない。
マリーカは満たされた気持ちで目を閉じた。
その頃、メインステージでは、ミス・コンの表彰式が行なわれていた。
「全員が輝いていて、優劣付けがたい大会でした。これからも自身の魅力にいっそうの磨きをかけ、素敵な人に成長していただきたいと思います」
ずらりと並んだ出場者の前で、審査委員長を務めた学園長のラナが挨拶をしていた。かたわらには、受賞者の名前が書かれた封筒を持つ司会の生徒がいる。
「それでは、発表いたします」
生徒から封筒を受け取り、ラナが封を切る。チサトは後ろからその様子を見ながら、無意識に息を詰めた。部の期待に応えられたかどうか。
次々と賞が発表されていく。団体賞はチアリーディング部が、ベストパフォーマンス賞はイリュージョン研究会の２年生が受賞した。嫌がっていたイーサーも舞台へ上げられ、色違いのおそろいのワンピースで並んだカーヤとともに審査員特別賞で名前を呼ばれていた。
「残る賞は２つ。まずは準ミス・フォルトゥーナです」
ラナはそこで息を継ぎ、にっこりと後ろを振り返った。
「茶道部２年生のセンリ・チサトさん。おめでとう」
スポットライトがチサトにあたる。大きな拍手がおき、チサトは光の輪の中、前へ出るよう促された。舞台の端で待機していた生徒が花束を持って進み出る。
花束を受け取って正面を向くと、フラッシュがまたたく。チサトは自然と笑顔になった。
ミス・フォルトゥーナは３年生のテニス部員が受賞し、ミス・コンは閉幕した。
「やったわね、チサトさん！ 準ミスなんてすごいじゃない！」
控え室へと戻ると茶道部の部長が飛びつくように抱きついてきた。
「野点も大成功だし、あなたのおかげよ。どうもありがとう！」
「お役に立てたのでしたら光栄ですわ」
チサトは嬉しそうに微笑んだ。茶道部の野点は来校者のアンケートでの評価が高く、売り上げランキングでも上位につけていた。部全体の雰囲気作りや接客ももちろんだが、チサトのミス・コンでのアピールが一役買っていることは間違いない。
「このあと茶道部で打ち上げをするの。チサトさんも来るでしょ？」
「お邪魔してよろしいの？」
「なに言ってるの、主役じゃない！」
ドン、と背を叩き、部長はチサトを茶道部の打ち上げ会場である部室へと引っ張っていった。
２人の到着を部員たちは歓声で迎えた。部長がチサトの準ミス受賞を告げると、室内の熱狂度はさらに高まった。チサトは部員たちにもみくちゃにされ、花束を潰されないようにするのが大変なくらいだった。
全員がジュースのコップを持ち、乾杯を唱和する。何の変哲もないオレンジジュースが、何かを達成した後に仲間と飲むととてもおいしく感じることをチサトは知った。
「ねぇ、見て！」
部員の１人が窓の外に気付いて声を上げた。集まった視線の先、木立の向こうに光の筋が延びる。
パァンッ
強い音とともに光が弾け、薄闇の降りた空に大輪の花を咲かせた。
「花火・・・後夜祭がはじまりますのね」
チサトはまぶしげに目を細めた。
「よぉっし、みんな、このまま後夜祭に繰り出すわよ！」
部長の言葉に全員が同意の声を上げ、ざわざわと動き出す。どうすればいいのかわからず戸惑うチサトの手を、部員の１人が引いた。
「なにしてんの、チサト。ほら、行こう！」
笑顔のその部員とは、それほど親しくしていたわけではない。けれど繋いだ手はとても自然で、チサトを嬉しい気持ちにさせた。
部員たちに囲まれて部屋を出て行くチサトを、窓際に置かれた小さなブーケが見送っていた。園芸部のフラワーアレンジメント教室で作ったブーケだ。
初めての食べ歩き体験の記念にと、リフィルと交換したブーケは、静まり返った部室で、そっと花びらを揺らした。
七
数日後。新聞部は学園祭特集の号外を発行した。
実行委員会の企画した数々のイベントの結果報告や、来校者アンケートからの意見抜粋などの記事がある配布型と、写真を中心とした特報的な壁新聞型の二種類だ。
学内の掲示板に張り出された壁新聞の前には、あっという間に人だかりが出来た。
「メイ先輩、キレ〜イ」
「おっ、この子カワイイじゃん」
「オレはこっちの子のほうがいいなぁ」
ミス・コンの受賞者たちの大きな写真を見ながら、生徒たちは口々に感想を言い合う。
その中で、ひときわ大きな声が上がった。
「なにこれ〜！」
「うっそ、知らなかった、こんなのやってたんだ〜」
「知ってたら絶対行ったのに、くやしい〜っ」
「なんかのトリックじゃないの、これ？ だっていつもとぜんぜん違うじゃん！」
興奮したように喋る女生徒たちに、リフィルは少し離れたところで満足げに頷いた。そのネタをつかんだときに、これは絶対ミス・コン以上の話題になると思ったのだ。
女生徒たちは、通りかかる友人たちを片っ端から引き止めている。そして引き止められた少女たちもまた、一枚の写真を見て驚き、同じように友人に教えようと声をかけていく。人だかりは増えていく一方だ。
「お前、いつの間にあんなの撮ってやがったんだ？」
後ろから声をかけられて、リフィルはのんびりと振り向いた。その時、掲示板前の女生徒の１人が大きな声で言った。
「でも、すっごいカッコイイよね、このエイドリアン先生！」
リフィルは笑みを浮かべて、背後にいたエイドリアンを見上げた。茫洋とした普段とはうってかわって、苦虫を噛み潰したような仏頂面をしている。
「これできっとファンが増えますよ、よかったですね、センセイ？」
にっこりとしてリフィルが言うと、エイドリアンはさらに顔をしかめた。
その様子にふふっと笑い、リフィルは視線を戻した。ここからでは見えないが、みんなが注目している写真がどんなものかはよく知っている。
首元にしめた蝶ネクタイ。丁寧に櫛を入れられ後ろへと撫でつけられた、普段はくしゃくしゃの金髪。ブラックとダークグリーンのオッドベストに、仕上げはくるぶしまで届くタブリエエプロン。
それは、料理部のスイーツカフェで、５分間だけ披露されたエイドリアンのギャルソン姿だった。
「いつもあのくらいピシッとした格好してたら、モテモテですよ」
「冗談。やってられるか、あんな面倒なの」
げんなりとした顔で、エイドリアンは肩をすくめた。
「記事にしちまったモンは仕方ないが、もう少しお手柔らかに頼むぜ。いくらお前さんの書く記事が好評だからって、抗議がないわけじゃないんだろーが」
「んー、考えておきます」
にこにことしたままのリフィルにため息をつき、エイドリアンがきびすを返す。それに気付いた一人の女生徒が、大きな声で指差した。
「あっ、エイドリアン先生！」
「え、どこどこ？！」
「本物？！」
一斉に振り向いた生徒たちが、リフィルの後ろのエイドリアンを見つけるや、すさまじい勢いで殺到した。
押しかける生徒たちに、エイドリアンは「げっ」とうめくと、慌てたように逃げ出した。
「せんせーっ」
「あのカッコで授業とかしないんですかー！」
「ああっ、それいい！ やって欲しいよね！」
「あたしも見たーい！」
「んなものするわけねーだろ！ 勘弁しろ！！！」
この分だと、少なくとも来年の学園祭では、また見られそうな感じね。
追いかけられるエイドリアンに、リフィルは心の中でそう思った。女の子は移り気だが、時として粘り強さを発揮することもある。団結した少女のパワーは、気力のない男性教師に対抗できるものではない。
「さてと。私も新しいネタを探しに行こうかしら」
盛大な追いかけっこが遠ざっていくのを見ながら、リフィルは呟いた。読者は常に新しい話題を求めている。期待に応えるのも、なかなか大変なのだ。
学園に、チャイムの音が鳴り響く。
かくして祭りは終わり、日常が戻った。
――― 少しだけ、以前とは違う日常が。
（Ｆｉｎ）
◇マスターより◇
こんにちは！ 「星のとびら」番外編はいかがでしたか？ とんでもない設定にアクションを送ってくださったお三方、本当にありがとうございました！
そしてもちろん、読んでくださったみなさまにも、心よりお礼申し上げます。
さらに感想や要望など送っていただけると、泣いて喜びますので、ぜひぜひ。
それでは、また何かの作品でお会いしましょう！
あかね 拝
◆◇ＮＰＣ一覧◇◆ 名前／性別／学年(役職)／年齢／所属／出し物
○エイドリアン／男／家庭科教師／３６／料理部／スイーツカフェ
○イーサー／男／高１／１５／陸上部／やきそば屋台
○カーヤ／女／高１／１５／弓道部／射的相性診断
○バアルジェナム／−／人工知性／−／電脳部／学園案内
○ハリール／男／高３／１８／風紀委員会／会場警備
○サクル／男／教頭／２７／なし／なし
○ラナ／女／学園長／４２／なし／ミスコン審査員長
◇◆参加者一覧(５０音順)◆◇ 名前／性別／学年(役職)／年齢／所属／出し物
○センリ・チサト／女／高２／１７／茶道部／野点
○マリーカ・フォン・リヒター／女／高２／１７／陸上部／やきそば屋台
○リフィル・ブランクレー／女／高２／１７／新聞部／−
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